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宝塚歌劇団についてひたすら書くよ

【花組】MESSIAH(宝塚) 彼は「はらいそ」を見たのか?【ネタバレあり】

またちょっと間が空いてしまいました…が!相変わらずぼちぼちと感想を書いていきたいと思います。
前回書き忘れていたのですが、もりもりネタバレ満載なのでその点はご容赦ください。

 全体のふんわりとした感想

今回のお話は、前半1時間が世界背景と言いますか、どのような人たちがどのような扱いを受けてきたのか…を丁寧に描き、後半の35分で一気に持っていくスタイルだと感じています。

もちろん細やかな心情の変化などはあるのですが、お話の展開として激しい部分があるか?と言われると、松倉さん登場シーンくらいではないでしょうか。
初日に観劇した時は正直「めっちゃ穏やかだけどどうなんの…」と思っていましたが(内容は全然穏やかじゃないんですけど)、前半でしっかりと天草・島原の人たちがどのように暮らし、考え(四郎を受け入れ)、そしてどのようなひどい扱いを受け、その中でも神を信じるしかない…という辛さを観ている人にしっかりと伝えることで、後半が輝くのだと思っています。

後半はもう泣くしか…というか、私は四天王制(一人ずつ順番にやられていくさま)で死なれると「ひええ~~~」となってしまうので悲しみが止まらない。
島原や天草のあのひとたちが!死んでしまう!という悲しみがありますね。ただこの悲しみはやはり、1時間かけて前半で丁寧に描いて「ただキリスト教を信じているだけなのに、こんな不当な扱いを受けて可哀想…」と同情する・感情移入する部分があるからこそ泣けるのだと思います。
※泣かなかった方=感情移入してない方、ではありません。念の為。

戦いのシーン自体も泣けるのですが、その後の家綱の決断がこれまた泣けるんですよね。
幕府は自分たちに何もしてくれなかった、自分たちの信仰を認めてはくれなかった。だけど、島原の乱がきっかけとなり家継が真実を知り、そしてそれを歴史として残さなければならないと感じた。彼らはなくなってしまったけれども、「はらいそ」を創る道は出来たのだと…。

鈴木は「はらいそ」を見たのか?

色々とこれまでの部分で「ここいいよね!」やら「ここ素敵!」と言いたい部分はたくさんあるんですけど、個人的にはここを書きたい!それが「鈴木はははらいそを見たのか?」というところ。

そもそも鈴木はこの舞台の中では、幕府の中でも(どちらかと言えば)島原・天草寄りの人物として描かれています。
10万石がおかしいというのはデータに基づいた発言であるので、島原寄り…とは言い難い部分かもしれませんが、交渉にきたリノからの報告がなにもないことに心配したのか再度矢文を送っているなど、積極的に天草・島原の人々を傷つける気持ちはないのでは?と推測が出来ます。

そしてラスト、流雨さんを切ってしまうことになるのですが、その後四郎が銃弾に倒れた際に「見えたぞ、流雨。はらいその光が…!」と言った際、伊豆守はさかさかハケているんですが、鈴木はその場に留まり、四郎の姿に「何かを感じたような」表情を見せ、膝を落とします。

私はそこで、鈴木は(幕府にとって)邪教の神が示す場所でありながらも、四郎の姿にはらいそを見たのではないか…?と感じたんですよね。

だからこそ、流雨さんが持っていたリノの絵を焼かずに持ち帰ったのでは…?と。
(その後、Stage Side Watchにて鈴木は流雨さんを切ったことに対して後悔しているとのこと。その償いといいますか、罪滅ぼしとして絵を持って帰ったのかもしれませんね)

解釈的として間違ってる可能性ももちろんあるのですが、私個人の希望としては鈴木にあの瞬間「はらいそ」を見てほしいな…と思っています。だからこそ四郎から目が離せなかったのだと。絵を残したのだと。

伊豆守の最後の表情

この公演の中でも話題になっている(はず?)、最後の伊豆守とリノのシーン。

初演~最初の1、2週間あたりはかなり伊豆守は厳しい表情でした。「本当に歴史に残しちゃうの!?校正しちゃうよ!」みたいな(勝手なイメージです)。
どちらかと言えば家綱の決断に否定的、といった表情に見えました。

しかし、後半になるにつれてその表情は非常に柔らかく、涙を流す日も。リノに対して「しっかりと真実を残すんだよ」と言わんばかりの優しいまなざしを送っていました。

これはどちらが正しいとかいい悪いではなく、やはり演じているマイティー(水美舞斗さん)の中で回を重ねるごとによって島原や天草の人々に対する思いであるとかが変わってきた…ということなのでしょう。
Stage Side Watchでも、「戦いには勝利はしたけれど、心根の部分では負けたと思っている」とおっしゃっていたので、最初はそこを記録に残す=幕府軍の根幹の権威にかかわる!と思う気持ちがあったのかもしれません。
こういう変化があるからこそ舞台は面白いと思いますし、何度も観てよかったな…と思えるところです。

非常に幕府の方々方面ばかり書いてしまいましたが、次はリノ周りなども書けたらなと思います。まだ書きたいことは色々あるので…ペースは遅いですが…。