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宝塚歌劇団についてひたすら書くよ

【花組】あかねさす紫の花/Santé!! (5月16日 15:30公演) 感想1:Aパターンとの簡単な比較(ネタバレあり)【役替りBパターン】

5月16日、突貫の日帰りでBパターンも観劇してきました。
Aパターンもすでに観劇しているので本来はAパターンから書くのが道理だと思うのですが、鮮度を大事に…!という思いから、Bパターンの感想から先に書きたいと思います。

ネタバレを含む内容ですので、25日のライブビューイングまで一切のネタバレは見たくない!という方や、DVDが発売されるまでは自粛!という方はご注意下さい。

大海人皇子の苦悩の物語から、中大兄皇子の覇道の物語へ

Aパターンは、明日海りおさんが演じていたのは大海人皇子
彼は幼い頃に出会った、兄の后の妹である額田女王と出会い、年月を経て再会し結婚します。

しかし大人の女性として成長し、十市皇女を産んだことで艶やかさを増した額田女王は中大兄に見初められ、奪われてしまう…というストーリーはBパターンも当然変わりません。

Aパターンは主役が大海人皇子ということもあり、彼は深く傷つき、悩み、それでも額田への愛情を抑えられない、青いところもある青年として描かれます。
(それはBパターンも同様ですが…。れいちゃんは大海人にハマっていたと思います)
加えて額田も深く大海人を愛しており、中大兄に惹かれるところがありながらもやはり大海人の元にいたいと感じさせる部分が多く散らばっています。

そのためお芝居の印象としてはラストも相まって重く残るところがあり、「可哀想大海人…」という感じだった、のですが。

Bパターンでは、そんな彼女が演じた中大兄皇子のひたすら存在感に圧倒されてしまいました。
なんというか、中大兄皇子天智天皇となり覇道を進んでいく中の1エピソード、というような印象さえしてしまうほど。それくらい彼の存在は大きかったです。

これはAパターンに比べて、大海人の出番が少ないことも影響しているように感じます。

例えば、中大兄が鏡女王に会いに来た際、鎌足が来た後刺客に襲われます。
Aパターンではそれを予見したのは大海人でしたが、Bパターンではそこで大海人は出てこず、「おまえたちは鼠の匂いに気づかぬのか?(セリフは超うろ覚えです)」と、自身が刺客に気づくという大物振りを発揮しています(実際大物ですけど)。

大化の改新も大海人を交えずやったような演出になっており、より覇道を歩む人物という描き方がされているので、そういった印象が強くなるのかもしれません。
もちろん、明日海りおさんの演じ方も大きいと思いますが、これは別記事にて書きたいと思います。

中大兄皇子に寄り添う額田女王

そう感じたのは、額田の立ち位置にも違いを感じたから…という部分もあるでしょう。

当然Bパターンは主演が中大兄皇子ですから、相手役となる額田は彼に寄り添う部分が増えます。

例えばオープニングの舞。Aパターンでは中大兄と共に舞うものの、その心は大海人の元にある印象を受ける演出でした。

しかし今回は真ん中で二人でかなり密着した舞い方になっていますし、有馬温泉にて中大兄が額田に対し、自分にとって額田が必要だと心情を吐露しますが、そこに額田が中大兄に寄り添う印象を与えるような(額田からの)セリフが入っています。

そこを天比古が目撃し、天比古無残へとつながるわけですが、Aパターンでは小月の言う「外からじゃ見えないものもあるんだよ」という言葉に象徴されるように、額田の気持ちは大海人に大きくある、だけどあの場面を見た天比古からはそうは思えない…というのは当然のように感じられます。

しかしBパターンですと、「かしずいている(意味的にはかしづいているの方が正しいかもしれません)」というのが匂い立つんですよね。

あの時点で、Aパターンでは8:2くらいで大海人に心があるんだけど、Bパターンではもう6:4?むしろ逆転しちゃう?くらいの差があります(数字はイメージです)。

より絶望感・悲壮感が漂う大海人皇子

Aパターンでは、愛し合っている二人が引き裂かれる悲しみ、辛さ、悔しさ…といったものが表に出るような演出、各人の演技という印象がありました。
大海人と額田は当然のこと、中大兄にも見えました。

対してBパターンではひたすらに、大海人の悲壮感、絶望が漂うような演出のように感じました。

Aパターンをご覧になった方であればわかりやすいかと思うのですが、額田につい会いに来てしまった大海人は、十市皇女を抱きしめた後、歌を歌いますよね。
Bパターンではその歌の途中からせり上がりで中大兄が出てきて(正直びっくりした)、歌を共に歌うのですがだんだんと中大兄に歌も乗っ取られていきます。

なんかもう、お兄ちゃんには敵わないね…みたいな部分をこれでもか!と演出されてしまうので、より悲壮感が漂います。

最後のセリフ、個人的に欲しかったな~

…なので、「狂ったか、大海人!」の後のセリフ「狂いましたー!」…が欲しかったなあ、と個人的には思ってしまいます。

演出はAパターンと同様、狂ったように笑いますが、自分でもこんなことをしてもどうしようもないとわかっていますので、悲しみが表に出てきてしまう…というなんとも言えない気持ちを残すことになるのですが…。

Bパターンの大海人は、Aパターンと同様に狂ったような笑いから悲しみへと落ちていくわけですが、これまでの流れを見るに従順すぎて、ただただ飲まれてしまったように見えてもったいないな、と思うわけです。Aパターンのように、反骨心というか「虎に翼が生えたらとんでもないことに」なるかなあ?と思ってしまいました。

あそこで大海人をもっと大きく見せて欲しかった、と思うので…主役じゃない位置なので仕方のないところかもしれませんし、確かに出番自体は多いのですが、やはりここが大海人という人間の見せ場でもある、と思うので。

ただこの辺は、私が見たのは初日でしたので、どんどんブラッシュアップされている可能性は十分にあると思います。ライブビューイングが楽しみ。

天比古はより尖った、神経質な印象に

キャスト別のところに書けばよかった…と思わなくもないですが…中大兄と大海人の比較をかなり書いたのでちょっとだけ。

出番自体に差はありませんが、多少演出が変わっています。

難波港で「もう忘れなよ」とすがる小月に対して手をあげようとするような鋭さや、彼女を菩薩にするという意識の違い…違いというか…これはTwitterで書いたことでもあるんですけれど、憧れをそこに彫ろうとしたAパターンに比べると、ちょっと狂気度が高いといいますか、「私はそれを彫らなくてはならないのである」みたいな怖さを感じました。

両パターン観たら額田になっちゃう

ひどいまとめ方ですが、両パターンみたらみんな額田になっちゃうよ…というのが正直な感想です。

まあこれは、私が明日海りおさんご贔屓というのも多分にあるのですが、Aパターンの大海人の若さ、みずみずしさ、それゆえの苦悩は痛ましいものでしたし、Bパターンの中大兄の色気、自身に満ち溢れた態度、そして威厳という名の圧は本当に圧倒されました。

みんな、額田になろうぜ…!